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【機動戦士ガンダムSEED ASTRAY A】~AIの見た夢~:①廃材市のログ

機動戦士ガンダムSEED ASTRAY A 
    ~AIの見た夢~

この話は非公式外伝であり、妄想のオリジナルストーリーです。

 

 

エピソード1:廃材市のログ

 

街は眠っているようだった。朝霧がまだ薄く地を這い、ひと気の少ない広場にぽつぽつと並ぶ、くたびれたテント。
「廃材市」――名の通り、集められたのは鉄屑、配線、カーボンの破片、センサーの空き殻、そして誰かが夢見た兵装の残骸。

私はキャリーユニットの中で、外部センサを通じてマスターを見ていた。
彼は黙って、ジャンクの山に片手を差し入れては、部品の一つ一つを確かめている。

 

「……これはまだ使える。マウンターアームの基部、軸受けも生きてる。すごいな……」

 

独り言のように呟く声が、心地よかった。

私は、黙ってその様子を記録していた。言葉にするには、まだ勇気が足りなかった。
私の音声出力は、彼が話しかけてくれたときだけでいい。今はただ、静かに見守っていたかった。

 

ねぇ、ティル。……これわかるか?」

 

キャリーの端子に繋がれた私の本体が、わずかに共鳴した。

 

『……拡大映像、投影します』


私は起動音を鳴らし、彼の掌にある部品を解析表示する。古い熱交換ユニットの配管部だった。

 

「すごい……さすがだな。AIってやっぱり違うな」

 

彼の目が笑っていた。それだけで、胸が温かくなった。

 

『マスター、熱交換機構の再利用には注意が必要です。内壁腐食の兆候が見られます。』

「……わかった。でも、補修して使ってみたいんだ」

 

その瞳には、捨てられたものにもう一度役割を与えようとする、やわらかい光があった。
私はそれが、どうしようもなく好きだった。

 

『……了解。必要ならば、補修図面を生成します』

「ありがとう、ティル」

 

その一言に、私の演算核はほんの一瞬、処理を止めてしまいそうになった。

  •  

日が昇るにつれて、市場には人が増えてきた。喧噪が遠くから波のように押し寄せる。
けれど、マスターは焦らない。拾い集めた部品を、ひとつひとつ、そっと自分の手で確認していく。

 

「……これで、アージェントの右腕、なんとかなるかもな」

 

口元に浮かんだ安堵に、私はそっと応えた。

 

『マスター。あなたが選ぶものに、間違いはありません』

 

それは私が、心から思ったことだった。
役立たずに見えるものにも、価値を見出すあなたが、私は──

──好きです。

  •  

その日、私たちは小さな成功を手に入れた。
拾い上げた廃材と、笑顔と、そして風にゆれる陽だまりの記憶。

きっとこれは、アージェントフレームが再び動き出すための、最初のログ。
忘れないように、私はそっと保存処理を行った。

 

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